ボルボにとってこの「C70 カブリオレ」が唯一のオープンモデル。この車の正体とは

そもそもボルボにカブリオレのモデルがあったことすらあまり知られていないかもしれません。ボルボのオープンカーなんて見たことがないという方がほとんどだと思います。それもそのはず近年ではボルボにとってこのC70カブリオレが唯一のオープンモデルであり、C70クーペの方も同様に唯一のクーペモデルなのです。このことに驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、これはボルボというメーカーの特徴によるものです。ボルボ自体にも迫りつつ、C70カブリオレの正体について見ていきましょう。

「そもそも何故カブリオレ、オープンモデルがC70のみなのか」

まずボルボ自体ファミリーカーを中心としており、安全安心を常に第一に考えてきたメーカーです。もちろんどのメーカーも現在は安全面を重視していますが、創業当時からボルボはその安全における比重が他メーカーよりも重く、ボルボの企業理念が「ボルボの設計の基本として常に安全でなければならない」であることから如何に安全を重視させているのかが伝わります。そしてこれは北国独特の視点なのですがヘラジカと衝突しても大丈夫な設計を考えているのです。そのためスウェーデンに行けばもちろんボルボが多く走っているのですが、それは自国のブランドであることに加えて厳しい冬を迎える国でも安全に乗ることができるが故にボルボが選ばれているのです。そのため必然的にワゴンやSUV、クロスカントリー車が多く作られ、クーペやカブリオレは少ないのだと思われます。そしてその安全性はボルボの武器でもあります。ボルボは過去に乗用車部門がアメリカのフォードに譲渡されて一時期はフォードのプラットフォームやエンジンを使わざるを得ないことがありましたが、フォードグループを脱退した後は完全な自社開発のエンジンとプラットフォームを用いており今日はオリジナル性と安全面を強調しているメーカーとなっています。

ボルボはステータス性や派手さはやはり同じ外車でも代表的なものを挙げるとBMWやメルセデスベンツ、フェラーリなどと比べたら正直劣る部分はあるかと思います。しかし堅実で信頼できる安全性は、修理などが困難なことが多い外車に乗る上でも大切なポイントかと思います。また日本ではそんなに台数が多くないのでちょっとした物珍しさはあります。そしてスカンジナビアンなシンプルながらまた他国とは違ったデザインはスタイリッシュでゆったりくつろげるような雰囲気も他にはないボルボならではの特徴です。

「C70について」


出典:ウィキメディア

C70そのものは1996年にパリサロンで発表され、翌年に販売が開始されました。はじめはクーペのみでカブリオレが追加されたのは2001年でした。そしてこの2001年のタイミングで、日本への輸入もはじまりました。しかしながら日本ではその頃バブルもはじけ散ってクーペやオープンカーも下火になっていた頃で、それらが飛ぶように売れなかった時代でしたが、2001年の輸入プレミアム4シーターカブリオレ部門ではBMWの330Ciカブリオレに続き2位と健闘しました。なんといっても4,950,000円という外車のカブリオレと考えると高すぎず安過ぎない絶妙な値段も功を奏したと思われます。

エクステリアはボルボらしくシンプルでスタイリッシュな点は共通しており、デザインを手掛けているのはどちらもチーフデザイナーのフェディ・タルスマですが、1代目と2代目では大きくデザインが異なっています。1代目は4ドアセダンの850が元となっており、850が販売終了した年にC70は販売開始されました。昔のボルボはカクカクとした角が強いエクステリアが特徴で、そういう印象をもっていた方も多いと思いますが、ちょうどこのC70が出るタイミングで角をなくし滑らかなボディラインを携えました。2代目からはさらに丸みを帯びて柔らかい印象になっており、現代的な雰囲気をまとっています。その後2009年にヨーロッパ仕様がフェイスを変更したことを受け、2010年に日本仕様も変更されました。フロントライトが吊り上がり、キリっとした顔になっています。

機能面ではデンマークの高級オーディオメーカーであるダイナオーディオのプレミアムオーディオシステムが標準装備されており、インテリアでは15色という中から好みのインテリアマテリアルを選ぶことができます。内装は後部座席も意外にゆったりとしておりソファーという言葉がぴったりなシートで、普段4人乗りとしても十分に使える広さも魅力的です。オープンにしていなくても威圧感がなくのびのびと感じられます。トランクはルーフをしまう部分も含んでいるのでその分多少狭くはなっていますが、奥行きをできるだけもたせようと工夫されているので後部座席は倒れないようになっており、ゴルフバックが約2個ほどが載せられるほどの体積があります。
また2003年には唯一の特別仕様車が追加されています。専用色のホワイトパールを纏いさらにラグジュアリーな雰囲気を漂わせています。30台限定で販売されたのでかなりレアな1台です。

「走りにおいて」

初代は駆動方式がFFで2,300cc直列5気筒DOHCライトプレッシャーターボチャージドエンジンが採用され、1999年にマイナーチェンジに伴い2,400ccとエンジン排気量が少し増えました。しかしその後2004年のマイナーチェンジでまた2,300ccに戻されターボがライトプレッシャーからハイプレッシャーに変わりました。2代目では日本向けには2,400cc曲列5気筒ターボと同じNAの2タイプが用意されました。カブリオレということもあり剛性は柔く感じられますがここは好みが分かれるところかと思います。しかしテキパキとしたハンドリングと固い足回りで上品な見た目からはちょっとギャップがあるという声が多いです。

「カブリオレの仕組み」


出典:ウィキメディア

1代目のカブリオレは電動式のソフトトップが備え付けられました。手動での作業は一切いらないインパネにあるスイッチ1つで30秒以内で開け閉めができるので、日本の変わりやすい気候でも使いやすいトップとなっています。オープン化するにあたりソフトトップになった以外に、側面衝突対応システムをカブリオレ用に改良されました。ボルボでお馴染みの後部衝撃吸収リクライニング付フロントシートのWHIPSも標準装備となっています。

2代目ではスチール製に替わり3分割開閉式電動ハードトップになりました。またカブリオレとしては世界初となるドア内臓カーテンシールドエアバッグが搭載されておりさらに安全面を強化させています。カブリオレと聞くと、開けてるときは爽快だけど閉めているとノイズがこもってうるさい…、途端に狭く感じ息苦しさがある…ということが珍しくないですがこのC70は閉めていても快適に乗れるのがまた魅力です。なんといってもスウェーデン生まれなので恐らく閉めた状態で乗ることの方が圧倒的に多いでしょう…。だからかオーナーの中には閉めてても快適だしオープンでなかったとしても気に入っているので、開けることもあまりないなんて方もいらっしゃいます。

「まとめ」

C70カブリオレを追及する上でボルボについても知ると、よりC70カブリオレへの理解が深まり独特な車であることが理解されたと思います。ボルボは生活に根差した安全な車が多い中、C70カブリオレは珍しく楽しむラグジュアリーでありながらお値段的にもお得な車と言えそうです。なんといっても日本カー・オブ・ザ・イヤーでは2018年、2019年とボルボのXC60、XC40が2年連続で選ばれたわけですが、輸入車が2連続受賞ということはボルボがますます注目を浴びていくでしょう。

やはり今世界的にも「エコ・合理性」が車にも押し寄せているのは間違いなく、致し方ないことかもしれません。特にボルボは北欧スウェーデンの会社ということもありエコへの意識が高く、日々研究が重ねられています。もちろん環境に優しいことは大事ではあるのですが、その上でカブリオレやクーペなど心ときめく車が生み出されることを願うばかりです。

[ライター/A. Oku]